学者と実務家

こんばんは。

 

前回の投稿から既に3か月ほど経過し、継続することの難しさを改めて実感している。

さらに下書きを見ていると更新日が9月末の仕掛中の記事が2件ほどあった。

書こうと思ったテーマは短期間で書き上げる必要があるようだ。

 

今回は学者と実務家。会計、監査の世界における私見である。

 

〇学者とは、実務家とは

両者は往々にして意見の対立が起こり得る。

広辞苑第六版によると両者は下記の通りである。

・学者:①学問にすぐれた人。②学問を研究する人。(学者肌:物事を論理的に考えたり研究一筋に生きたりするような、学者に多く見られる気質。学究肌。学究:もっぱら学問を研究すること。また、その人。学問にうちこむ人。)ちなみに「研究者」という用語は広辞苑に登録されていなかった。

・実務家:①実務に当たる人。②実務に熟練した人。(実務:実際の事務。実地に扱う業務。)

簡単なイメージとして、学者は大学などで数多くの書籍を読み漁り論理体系について熟考している者、実務家は実際に顧客を持ち取引を行っている(業務に携わる?)者といったところであろうか。

 

〇学者と実務家の守備範囲

一見すると両者が相見えることはないが、様々な学会や講演、制度設計の場面で交流することとなる。特に重要となるのが制度設計の場面であろう。

学者からは理論的な考え方を踏まえたうえで制度としてどうあるべきかを主張するのに対し、実務家は現場(業務上)において実行可能かどうか、業務上どのような負担が増えるかといった影響を加味するしたうえで意見を述べることとなる。

そのため、学者からはまさに基本的な原則論が展開されるのだが、その中にはやや具体性に乏しい場合もある。実務家の場合、各々がそれぞれ異なった母体に所属していることから各母体の利害が優先(有利になる)されるような意見がでたり、学者からは理論的でない意見が、さも理論的にであるかのように主張されることがある。

上記のような両者が議論の場に参加することでのデメリットを打ち消し、補完することができる。実務家は学者に対しより具体的な事案を提示し、学者は実務家の主張をより正確な(?)論理体系に補正することとなる。そのため、学者と実務家が制度設計の場面では議論に参加する必要がある。

 

〇3つの視点

ある分野について精通するためには3つの視点について理解しておく必要がある。

①純理論的な考え方、②制度論としての在り方、③実務上の実行可能性。

①と②は学者、②と③は実務家の守備範囲であり、①については学者に及ばないまでも実務家も一定の理解はしているところであろう。

当然理想は3つすべての視点について理解しておくことだが、①か③のいずれかが片手落ちとなり、現実的にはかなり難しいだろう。学者の世界であろうと実務家の世界であろうと長期的な離脱はあまり好ましくないように思う。いずれかの世界に軸足を置きながらもう一方の部分について見識を深める必要がある。実務家が①の分野について理解を深めるためには学会への参加等により、その機会が確保されているように思うが、学者が現場に出る場面を聞いたことがない。最も欠けているのはこの部分なのだろう。

なかなか難しいかもしれないが、学者の方々が現場に出て少しでもその状況を認識することで新しい制度の導入がどれだけ実務上影響を与えているのか目の当たりにしていただけるとよいのかもしれない。

 

エデン

 

以上