実質③

 こんばんは

 

実質①では、経済的実質の言葉の意味について紐解き、実質②にて経済的実質が各基準等でどのように用いられているか示し、取引レベルでの比較可能性も考慮する必要があることを述べた。

今回は、財務報告の目的と関連付けて会計処理が経済的実質を重視する理由について考えてみる。

 

ディスクロージャー制度と財務報告の目的第1章1-3項(要約)

ディスクロージャー制度の意義:投資家と経営者の情報の非対称性の緩和し、投資家の自己責任のもとで資金を投下する。

②財務報告の目的:投資家の意思決定に資するディスクロージャー制度の一環として、投資のポジションとその成果を測定し開示する。

③投資の成果を生み出す利益情報:過去情報だが、企業価値評価の基礎となる将来キャッシュフローの予測に広く用いられ、利益を生み出す投資のストック情報も含まれる。

 

〇投資家の行動

投資家は財務情報を入手することで過去に企業が資金どのように投下・運用し、成果・収益を上げているか把握することができる。そして、投資家はこれらの過去情報をもとに企業の将来の不確実な成果を予測し、不確実な将来キャッシュフローへの期待をもとに自らの意思で自己の資金を企業に投下することになる。

 

〇投資家が求める情報(意思決定との関連性)

投資家は企業価値の評価、将来キャッシュフローの予測に必要な情報を求めており、当該情報を提供することが財務報告の目的とされている。ただし、企業価値評価の基礎となる将来キャッシュフローの予測に用いられる情報すべてを財務報告の枠組みの中で提示するのではなく、あくまでも会計情報は企業が過去行ってきた取引(過去情報)の積み重ねであることを理解しておかなければならない。

(現在の会計基準は会計処理にあまりにも将来情報を盛り込みすぎているような気もするが、、、)

 

 〇取引の経済的実質

取引の法的形式により会計処理を行わず、取引の結果、企業の将来キャッシュフローにどのような影響を与えるか考慮し、類似取引との比較可能性を踏まえたうえで会計処理を行う必要がある。

 

〇まとめ

財務情報は取引記録の集積である。当然ながら財務報告が将来キャッシュフローの予測に資する情報提供を目的とするならば、その基礎となる取引レベルにおいても将来キャッシュフローへの影響を加味したうえで会計処理を行う必要が出てくる。そのため、取引の経済的実質を表現することで、取引間の比較可能性を担保し、各企業の将来キャッシュフロー予測の基礎となる情報を提供することができる。また、取引間の比較可能性が担保されていることから、企業が資金をどのように投下しているか資金の運用実態をより適切に把握することもできるのだろう。

 

〇その他1

将来キャッシュフローへの影響という観点から投資家が重視しているのは主に投資のポジションなのだろうか。今後キャッシュを生むのは当然貸借対照表に計上されているものである。そのためか、経済的実質を重視しているのは貸借対照表に関連するもののように思う。しかし、収益認識に関する会計基準では収益の認識方法についてまで経済的実質について言及されていることから、総額なのか純額なのか、企業としてどれだけの成果を上げられるのか、取引の実態は手数料なのではないかとか、この辺りはこれから勉強が必要そうだ。

 

〇その他2

 

投資家は将来キャッシュフローを重視していると概フレで明言しているのにキャッシュの裏付けのない包括利益を開示している意味って何なのだろう。監査上も重要性の基準値の算定基礎に包括利益を想定していないことからも包括利益って誰が重視しているのだろうか、、、

 

むかしむかしのきょうのぼく

 

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以上