実質②

連投

 

先日、実質について簡単に思ったことを書き連ねたが、収益認識基準を読み進めると実質についての記述があったため改めて(あまり日がたっていないが)整理することにする。

〇個人的意見

経済的実質とは、契約形態を会計処理に反映するのではなく、契約から生じる経済的な効果(費用負担や利益享受)を表現することを求めていると思われる。

 

〇概念フレームワーク第2章20項

「会計情報が比較可能であるためには、実質が同じ、すなわち、企業の将来キャッシュフロー(の金額、タイミング、不確実性)が投資家の意思決定の観点から同じとみられる場合には同一の会計処理を、それが異なる場合には異なる会計処理がなされていなければならない。」

 

〇収益認識に関する会計基準16項(4)

「契約に経済的実質があること(すなわち、契約の結果として、企業の将来キャッシュ・フローのリスク、時期又は金額が変動すると見込まれること)」

 

また、リース会計基準では実質という言葉を下記のように用いている。5項にて

ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。

と記載されており、

会計基準が経済的実態に着目しているのはあくまでも比較可能性を担保するためである。法的形式に従い会計処理を行うと、経済的実態が財務諸表上に表現されないこととなる。これでは財務諸表利用者が経済的実態の差(事実の同質性と異質性)を峻別(厳しく区別すること)できず、財務諸表利用者の意思決定のための情報提供機能という財務報告の役割が果たせなくなってしまう(概念フレームワーク第2章11-12項参照)。なお、実質と財務報告の目的については別途機会を設けることとする。

 

ここで「比較可能性」と記している。一般的に比較可能性というと下記の2点が挙げられる。

①同一企業の会計情報を時系列で比較する(期間比較)

②同一時点の会計情報を企業間で比較する(企業間比較)

しかし、ここでの「比較可能性」とはいずれでもなく、取引(事実、対象)の比較可能性である。取引の経済的実態が同様であれば、同一の会計処理を適用し、異なる場合には異なる会計処理を適用することで初めて取引レベルでの比較が可能となる。

なお、リース会計基準29項では「法的には賃貸借取引であるリース取引について、経済的実態着目し通常の売買取引にかかる方法に準じた会計処理を採用しており、これはファイナンス・リース取引と資産の割賦売買取引との会計処理の比較可能性を考慮したものと考えられる」と記されている。

 

取引の経済的実質を会計処理として表現するために取引の結果、企業の将来キャッシュフローにどのような影響を与えるかを考慮することが重要だが、それだけではなく、類似の取引の会計処理との比較可能性まで検討することが求められるだろう。

 

冒頭に連投と記載しているが、これはすぐに記事を投稿しようと思っていたが気が付いたら3週間以上もたってしまっていた、、、

 

命に嫌われている。

 

以上